このサイトはyamakouFX氏による人気ブログ『スワップ派のためのFXポートフォリオ』をホームページ形式にまとめたものです

スワップ派のためのFXポートフォリオ 序章

当サイト・ダイジェスト版

2008年3月、投資関係の雑誌「¥enSPA ! 08春号」に当サイト原稿でもある連載中ブログ『スワップ派のためのポートフォリオ』を紹介して頂きました。(注1)

その取材の際に、筆者であるyamakouFX氏が自身の連載ブログ・ダイジェスト版として用意したものが下記の論文です。氏がブログ連載中の内容を読みやすくまとめたものです。当サイトの全体像を、まず簡単に理解したい方には最適だと思います。
(注2)

尚、この論文はスワップ派のためのポートフォリオ』において「スワップ派の考え方」というタイトルで08/03/29~08/04/03の期間連載されたものをベースにしていますが、内容の一部に加筆・修正を加えております。



スワップ派はどんな考え方に基づいてポートフォリオを組み立てるべきなのか

スワップ派の考え方 ―その1―

最初に、スワップ派とは何か?をはっきりとさせておく必要があります。
ここでは、
「通貨間の金利差(インカムゲイン)を投資リターンの源泉とし、価格差による収益(キャピタルゲイン)は狙わない投資家」
と限定します。

スワップ派といいながら、実態としてキャピタルゲイン狙いの売買をする投資家もいますので、上記のように、はっきりさせておく必要があると思います。

実際の投資家は、価格差のみで利益を狙うトレード派と金利差で利益を狙うスワップ派が明確に分かれてのではなく、その中間的な投資家も多くいます。

また、円資産のヘッジという、異なる目的を持たせる人もあります。そして、それぞれの投資家の位置により、投資手法も多くのバリエーションがあります。

そのため、スワップ派とは金利差収益のみを狙う投資家と限定する必要があると思います。そのような限定をしないと、答えもはっきりと定まりません。

このブログの今までの記事も、この範囲にほぼ厳密に限定しています。いずれは、もう少し応用的なストラテジーの話題や、為替以外の資産の投資について書いてみたいと考えていますが、まずは、基本を固めましょう。

さて、
「スワップ派は、どんな考え方に基づいて資産を運用するべきか?」
に入らせていただきます。

まず言えることですが、この質問は少し急ぎすぎています。
なぜならば、上記のようなスワップ派の定義をした後に、
「スワップ派はどのような考え方に基づいて投資をすべきなのか」
という質問から始めなければならないからです。

そして、それの答えを求めた後に、
「スワップ派は、どのような手法を使って投資をするのが適切か」
という質問が出てきます。そして、その答えを探る途中に「ポートフォリオ」という言葉が出てきます。

そしてようやく
「ポートフォリオをどのように組み立てるべきか」
に入ることができます。
なにか遠回りをしているように聞こえるかも知れませんが、こられの質問を考えてゆく道筋のなかにこそ
「スワップ派は、どんな考え方に基づいてポートフォリオを組み立てるべきか」
の回答が明確にあわられてきます。

ただ、これをまともにやろうとするとかなり大変で、このブログ「スワップ派のためのFXポートフォリオ」でも、いままでに、かなりの回数にわたって、この話題について解説しています。

ここでは、これまでのまとめという位置づけで、要点を分りやすく書いてみたいと思います。



スワップ派の考え方 ―その2―

スワップ派のFX投資には2つの面があります。

良い面(リターン):高い金利を期待できる
悪い面(リスク):為替変動で損をするかもしれない

この2つの点がわかれば、
「スワップ派はどのような考え方に基づいて投資をすべきなのか」を答える方針が見えてきます。

良い面を多く、悪い面を少なくする投資を目指す、つまり、
「できるだけ金利は高く、為替変動は少なく」
なるような投資を目標とすればよいのです。

リターン側の金利を高くすることは簡単です。
金利の高い通貨を買えばよいわけです。

一方、
リスク側の為替変動を少なくすることは、簡単ではありません。
リスクの大きさを計測するにはそうすればよいのか、と言う事からして、かなり難しい問題になります。

しかし、
幸いなことに投資理論の世界では、リスクの第一近似として確立した考え方があり、それは、
リスク=「資産変化率の標準偏差」 
(*ここでは、資産変化率=為替レートの変化率)
とすることです。

いくら理論が良くとも現実に合わなければ実用性がないのですが、この考え方は、プロの投資家の世界でも広く受け入れられている、実用性の高い便利な考え方です。

そして、いったんリスクをいう掴み所のないものを、標準偏差という非常に分かりやすい考え方に移行させてしまえば、あとは、どうやれば標準偏差を小さくできるかという、単純な数学の問題となってしまいます。

標準偏差といっても、よく分からない人も多いと思いますが、予測できない変動の大きさを測る数値と考えてください。標準偏差の数値の大きさ=リスクの大きさです。

つぎに、どうやって標準偏差を求めるか、という課題があります。
リターン側は、各通貨の短期金利差に基づいて業者が発表している通貨ペアのスワップポイントから簡単に求めることが可能です。

ところが、標準偏差は各国が政策金利のような発表しているわけでないため、スワップ金利のように明確な数値を手に入れることはできません。

結局、標準偏差は投資家が自ら推定するしかありません。それも、今後の推定という厄介なことをやる必要があります。

幸いなことに、為替レートの変化率の標準偏差の値は、過去の値で比較的良く将来の値を説明できるという都合の良い性質があります。

たとえば、EURCHFの過去の標準偏差は小さいので今後も標準偏差は小さいと予想できますし、NZDJPYはその反対に過去の標準偏差は大きく、今後も標準偏差は大きいだろうと予想できます。

つまり、過去の為替レートの変化率のデータから標準偏差をもとめ、これをその為替レートの将来のリスク推定値とすればよいわけです。



スワップ派の考え方 ―その3―

これで、リターンとリスクの求め方がわかりました。それでは、このリターンとリスクを使うことによってスワップ派にとって魅力のある投資対象とは何かを考えて見ましょう。

例を上げてみます説明します。

通貨ペアAは、スワップが6%、標準偏差が10%
通貨ペアBは、スワップが10%、標準偏差が20%

とします。AとBのどちらかに投資をするならば、スワップ派にとってはどちらが有利でしょうか?
スワップの高いBでしょうか。
答えはAに投資したほうが良い。
となります。

なぜならば、通貨ペアAは通貨ペアBのちょうど半分の標準偏差を持っています。そのため、Aを2単位投資すると、ちょうどBを1単位投資するのと同じリスクだけを負うことになります。

このとき、スワップは2倍もらえますので、Bと同じリスクを負うならば、Aは実質的に12%の利回りがあることになります。

ここで、投資の魅力度を
リターン÷リスク
と決めてやり、この数値が大きい投資対象ほど有利な投資であるとすれば、通貨ペア間の比較は簡単にできることになります。

AとBの場合でいえば、
Aでは6%÷10%=0.6
Bでは10%÷20%=0.5
となり、Aに投資したほうが良いという結果が求まります。

この投資魅力度の考え方を「シャープレシオ」といいます。
(通常シャープレシオの定義は分子をリターン‐短期金利としますが、為替証拠金取引の場合は短期金利の項は必要ありません。)

「スワップ派はどのような考え方に基づいて投資をすべきなのか」
の答えがでました。

「シャープレシオという考え方に基づいて投資をすべきである。」
となります。

実戦では、もう少しいろいろなことを考慮すべきですが、まず、この基本を押さえることが最重要です。



スワップ派の考え方 ―その4―

次のステップです。
「スワップ派は、どのような手法を使って投資をするのが適切か」

スワップ派は、シャープレシオが大きくなるような投資をすべきです。では、どのように手法を使えばシャープレシオを大きくできるのでしょうか。

まずは、多くの通貨ペアのシャープレシオを調べて、大きなシャープレシオを持つ通貨ペアに投資をする方法があります。

もうひとつ、かなり有効な手法があります。分散投資、つまり、ポートフォリオを組むことによってシャープレシオを高める方法です。

ポートフォリオを組むとなぜ、シャープレシオが高まるのか。それは、標準偏差の性質をうまく利用できるからです。先ほどの通貨ペアAとBの例で説明します。

AとBを50%ずつ組み合わせたポートフォリオとします。
まず、ポートフォリオのリターンですが、これは単純に6%と10%の平均で8%となります。

では、リスクはどうなるのでしょう。10%と20%の平均で15%になるのでしょうか。

実は、ポートフォリオのリスクは5%~15%のどれかの数値になります。この数値を決める鍵となるものが、2つの為替レートの連動性です。

連動性が低いほどポートフォリオのリスクは低くなりますし、連動性が高いほど、ポートフォリオのリスクは高くなります。

連動性も数値化することが可能で、相関係数と言われます。相関係数も標準偏差と同様に過去の為替レートの変化率から、比較的簡単に計算可能です。

(しばしば、為替レートの価格から相関係数を計算する方法が紹介されているのを見かけますが、ポートフォリオのリスク計算に用いる場合には、為替レートの変化率から相関係数を求める必要があります。)

いったん、相関係数が求められれば、ポートフォリオの標準偏差は簡単に計算することができます。

さて、ポートフォリオのシャープレシオはどうなるでしょうか。ポートフォリオのリスクが5%のときは1.6、リスクが15%のときは0.53となりますので、0.53~1.6の値をとることになります。

もし、AとBの連動性が低くポートフォリオのリスクが低く抑えられたならば、AやBに単独で投資した時にくらべて、シャープレシオを高くすることができます。

さらに、もう一段シャープレシオを高めることもできます。ポートフォリオの各通貨ペアの組入れ比率を調整することによって、シャープレシオがもっとも高くなる組入れ比率を探しだすのです。

結局、スワップ派がポートフォリオを組む作業は、シャープレシオがもっとも高くなるように、数多くの通貨ペアの中から組入れ通貨ペアを探し出して、さらに、それらの組入れ比率を決める、というかなり複雑で大変な作業をする必要があるわけです。

投資家がこれらの作業をやることは、何らかのツールがないとかなり困難です。
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注1)
実際の記事はここでご紹介した「スワップ派はどんな考え方に基づいてポートフォリオを組み立てるべきなのか」を基に記者が2ページに渡って要約したものです。主に推奨通貨ペアの話しがメインになってます。




注2)
スワップ派のためのFXポートスタジオ公式サイトには、更に当ページを基に噛み砕いて説明したなぜポートフォリオなのかがあります。そちらもご覧になってみて下さい。



第一章 入門編
01. スワップ金利って?へつづく

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第一章  入門編
第二章  発展編
第三章  実戦編  
以下、続きはブログ゙で連載中
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