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スワップ派のためのFXポートフォリオ 別章

c. マーケット分析 - 目次 -

c-1. 最近のマーケット分析(08/10/19)
c-2. スワップ金利と下落率の奇妙な関係(08/10/20)



c-1. 最近のマーケット分析(08/10/19)

この数ヶ月間、マーケットでは何が起こっていたのでしょうか。

金融市場は、数十年に1度くらいの大きな激変にさらされています。このような時に大切なのは、いい加減な評論家の解説を聞くよりも、まず、何が起こっているのか、わかる範囲で事実の分析をしてみることです。

状況をつかむために、全体的な為替市場の動きを見てみましょう。

為替市場では、ここ数ヶ月間、対円ですべての通貨が下落しています。円キャリートレード(要するにスワップ狙いの運用) のポジション解消による円高と解説されていますが、本当にそうなのか、簡単なマーケット分析をします。

分析対象は、
AUD BRL CAD CHF EUR GBP HUF INR ISK JPY KRW MXN NOK NZD RUB SGD TRY USD ZAR
の19通貨です。

今回の分析はすべて対USDで行います。
なんといってもUSDは基軸通貨です。USDを基準としたほうが、マーケットの動きが良くわかると思います。

対USD、10月17日までの各通貨の変化率です。



7月末~、9月末~、先週末(10月12日) ~で計算しています。
7月末~(薄黄色)を見てください。対米ドルで、円以外すべて大きな下落をしています。普通、円高といえば対ドルで言います。

ところが、この期間、米ドルは円を除けば最強の通貨でした。特に、高金利通貨は軒並み20%以上の強烈な下落幅です。

同期間で円は対米ドルで7%近く上昇していますので、円をショートにしたポジションでは、何をやっても、もろに被害を被ってしまっています。

9月末~をみると、TRY、ZAR、MXN、AUD、NOK、CADの下落が目立ちます。高金利で不安定な通貨、または、資源国通貨の下落が続いていることが分ります。通貨からみても、資源バブルは解消ですね。

一方、EURやCHF、GPBなどはかなり安定的になっています。注目は、RUB(ロシアルーブル) が比較的安定していることです。

同期間、ロシア株は強烈に下げていますが、通貨の方は安定状態になっています。資源国といってもロシアだけは例外のようです。

先週1週間の動きをみると、この傾向はより顕著になっています。ZAR、TRY、HUFの下げが目立ちます。ISKは破綻しましたので、めちゃくちゃな動きですね。

AUD、BRLの強い上昇は下落の反動でしょう。このまま、反転上昇というわけには行かないと思います。

次に、ボラティリティを見てみましょう。リターン分析と同期間での日次の標準偏差です。



下落幅とボラティリティは、ほぼ比例していますね。ボラティリティの大きな銘柄は、下落率も多くなっています。

下落率の大きな通貨は、直近になるほどボラティリティは大きくなっていますが、メジャーな通貨は安定しています。2極化している状態です。RUBの安定性には注目ですね。

また、AUDがTRYやZARより大きなリスクであったのは、ちょっと驚きです。相当なポジションの解消売りが出たのでしょう。

破綻したISK、破綻懸念のKRWはやはり強烈なボラティリティですね。先週のHFU、TRY、ZARのボラティリティの上昇も注目すべきでしょう。これらの通貨はこれから何が出てくるのか分りません。

ここまでの分析では、やはり、高金利通貨の下落率は大きいのでキャリートレードのポジション解消も大きな要素と思われます。

また、円以外のすべての通貨に対してドルは上昇していますので、信用不安によるドル回帰という理由もかなり大きそうです。

ただし、ここ1週間の動きから、メジャー通貨に対しての調整は、ほぼ終わりかけているような動きをしています。

今日は、簡単にマーケットの状況を見てみました。次回のマーケット分析では、金利との関係をしらべます。

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c-2. スワップ金利と下落率の奇妙な関係

前回に引続き、マーケット分析です。
今回はちょっと踏み込んだ分析をして見ましょう。金利と最近の下落率との関係です。

下図を見てください。



縦軸を7月末から先週末までの対USD変化率、横軸は短期金利として、各通貨をプロットしました。
通貨のコードは書いていませんが、大体お分かりだと思います。
(米ドル、日本円はプロットしていません。)

第一の大きな特徴は、金利が高いほど下落率が大きいことです。
かなりきれいな関係が成り立っています。

回帰分析をしてみたところ(結果はグラフの右上の式)、
下落率=-1.024×短期金利-0.1071
となりました。

短期金利が1%高くなると、この期間1%下落率が大きくなるという、非常に面白い結果になっています。
金利と下落率は比例関係にあったわけです。

このことから、
予想通りキャリートレードのポジション解消が下落の要因であったといえそうです。

第二の特徴として、切片が-0.1071もあったことです。これは、金利の要因以外で、米ドルに対して各通貨は-10%以上も下落したことを意味します。
この部分は、信用不安による、米ドル回帰によるものであると言えそうです

円の場合は、同期間で米ドルに対してさらに7%くらい上昇しているので、際立って強かったと言えます。有事の円なのでしょうか?

結局、この期間でJPYやUSDをショートにしたスワップ運用を高レバレッジでした場合には、ドル回帰による下落をもろに受けてしまうために、Long側でどんなに分散しても、致命的な傷を負ってしまいます

ところが、CHFやSGDなどのJPYやUSD以外の通貨のショートで、上手くポートフォリオを組んでいれば、金利要因による下落の影響のみで、それほど大きな損失は発生しません

最適化などを使い、各通貨の組入れウエイトを精密にコントロールした運用は、このような異常な相場状況では、なおさら大切であることが言えそうですね。

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序 章
第一章  入門編
第二章  発展編
第三章  実戦編  
以下、続きはブログ゙で連載中
別 章
その他
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